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ヤル気を科学

 みなさ~ん、こんにちは、“社員のやる気を引き出す男”、石川です。
おっ、今回から呼び名が変わりましたよ。そうです、これからは、こう呼んで下さい。
それでは、本題に入りたいと思いますが、ちょっとだけ前回の復習をしたいと思います。前回は目に見える報酬、見えない報酬、これがやる気の基本であり、見えない報酬が重要であるとお話しました。
ここで、やる気を引き出すために行われた、「成果主義」について考えてみたいと思います。「成果主義」は好業績を上げた人にはそれなりの給料をUPさせようというものでした。ですから、社員は業績を上げれば給料が上がるわけですから一生懸命頑張りました。しかし、結果は成功したという話は、あまり聞こえてきませんでした。なぜでしょうか?私が考えるところでは二つの要因があると思います。
一つ目の要因、それは組織の崩壊を起こしてしまったということです。つまり、社内で好業績を上げると云うことは、周りは全て、ライバルになることであり、敵になるということです。従って、周りの社員と仲良く協力し合って仕事をするという雰囲気は無くなってしまうと云うことです。つまり、先輩社員が後輩社員に何も教えなくなるのです。
また、経営者が全体のレベルを上げようと思い、社内研修会を開き、講師にベテラン社員を起用したところ、自分のノウハウを教えるわけにはいかない、どうしてもというなら金(講師料)をくれといわれた。このように、社内がギクシャクしコミュニケーションがあまりとれない職場環境になってしまったのです。
二つ目は、目に見える報酬にフォーカスしたことです。つまり、前号で書いた、衛生要因であるということです。これは、成果を上げられた時は給料が上がりやる気はでるのですが、時間が経つと慣れてしまい、やる気が長続きしないのです。
ここで、“慣れてしまう”ということについて蛇足だとは思いますが、説明したいと思います。「ある日ものすごい絶景を見る機会がありました。涙を流して感動しました。初めて見る絶景はそうですよね。しかし、このような絶景でも二度目は?三度目は、ましてや十度見たとしたら感動するでしょうか?ああ、こんなものだ、と思うようになってしまうでしょう。」つまり、目に見える感動とはこういうものです。
そして、長続きしないもう一つの要因があります。それは、長い不況期に、連続で好業績を上げるのは並大抵のことではありません。これも長続きしないのです。社員が疲弊してしまうのです。
このように、成果主義は方法論としては良い面もあり、短期的には有効であると思いますが、長期的に考えると難しい面があると思います。
成果主義の是非を問うつもりはありませんが、「動機づけ要因」についてもう一度考えてみませんか?

いしかわ社会保険労務士事務所
社会保険労務士 石川 勲
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